腰椎椎間板ヘルニア


腰椎椎間板ヘルニアとは?

背骨は頚椎から仙椎まで椎骨と椎間板がつながって出来ています。
椎間板は軟骨で出来ていますが、その構造は繊維輪という硬い
軟骨の囲いの中に、柔らかい隋核という軟骨が入っており、
ちょうどタイヤのゴムと空気のようにクッションの役目をしています。
その隋核が繊維輪を破って飛び出した状態が椎間板ヘルニアです。
椎間板ヘルニアは頚椎にも腰椎にも出来ますが、上半身を支える腰椎、
特にL4-5、L5−S1間によく出来ます。椎間板ヘルニアがある時、
一般的にはその椎間板は変性(老化現象)を起こしています。

隋核が繊維輪を破って飛び出した状態


腰椎椎間板ヘルニアの分類
腰椎椎間板ヘルニアの分類
正中型・・腰痛 片側型・・下肢痛 外側型・・下肢痛


膨隆型(突出型) 脱出型 脱出遊離型(移動型)

髄核脱出の程度、方向により腰痛、下肢痛、下肢痺れ(しびれ)、筋力低下などの神経症状を呈します。
年齢層は順に、30歳代、20歳代、40歳代、50歳代に多く見られます。
男女比では男性に多く、職業は、軽作業・重労働問わず学生や主婦など全ての職業にみられます。
L4-L5、 L5-S で95%と圧倒的に多いです。左右差はなし。

椎間板内圧
椎間板内圧が高いと強い腰痛があります。

 膨隆型・・・・内圧高い
 後縦靱帯を破らない脱出型・・・・内圧高い
 後縦靱帯を破った脱出型・・・・内圧低い
 遊離型・・・・内圧低い
 繊維輪の膨隆、骨棘・・・・内圧低い

ヘルニアが吸収される!?
3ヶ月〜6ヶ月位で、ヘルニアが自然に吸収されることがあります
 遊離型ヘルニアの30〜50%で吸収がみられます。
 まれに、後縦靱帯を破った脱出型にもみられます。


腰椎椎間板ヘルニアの自覚症状、他覚所見

★坐骨神経痛 臀部〜大腿〜下肢の痛み
★下肢のしびれ感 親趾のしびれはL5、小趾のしびれはS1。
★腰痛 骨盤との境目、お尻。正中の突出型に多い。椎間不安定があるとき。
★下肢の筋力低下 母趾背屈、足首背屈L5、爪先立ちS1。スリッパが脱げる、親趾に力が入らない、つま先で立てない。
★SLRテスト陽性 膝を伸ばして下肢を挙げると腰や下肢に痛みが走る。
★膀胱直腸障害
 
緊急手術が必要!
尿意がわからなく尿が出ない。肛門が痺れて締りがなくなる。
肛門周囲の感覚がない。男はインポテンツになる。

一般的な症状でよく見られる症状の変化
腰痛→下肢の痺れ→下肢の痛み→下肢の筋力低下

L5.S1神経根の障害が95%です。


腰椎椎間板ヘルニアの治療


◆保存的治療
 急性期
 (激痛のとき)
@安静・・・痛みが強いときには最も良い治療法です。
A鎮痛剤(内服、座薬)、筋弛緩剤、ステロイド剤
B注射・・・仙骨硬膜外ブロック、選択的神経ブロック、椎間板内ステロイド注射
Cコルセット・・・痛みで立つこともままならないときはコルセットを装着することで腹腔内圧が高まり体幹を維持できます。
 亜急性期、慢性期
 (我慢できる痛み)
Cコルセット・・・痛みが強い時だけ付けるのが正しい使い方です。
D運動療法・・・ウオーキング、ストレッチ、筋力訓練、水中歩行、腰に負担のかからない泳法。
E物理療法・・・牽引療法、温熱療法、水治療法
F鎮痛剤・・・痛みが強い時

※水中歩行運動
腰痛への負担は軽いながらも、水の抵抗に逆らって歩くことで筋肉の強化を図ります。
浅いところでは体の負荷は軽くなり、深くなるほど負荷がかかります。自分に合った抵抗負荷のある水深を選びましょう。腹式呼吸をすることで腹筋を意識して歩きます。(口から息を吐きながらお腹を引っ込めるように)
膝を高く持ち上げるようなイメージで足を上げて、踵から下ろし体重を踵から床にしっかり伝えます。


◆手術療法
突出型 脱出型 移動型
 科学的椎間板融解術 × 日本では行われていない
 レーザー焼灼法 × 保険が効かない。有効率不明
 経皮的髄核摘出術 × 有効率40〜60%
 鏡視下摘出術 皮切りが小さい。Love法と同じ
 Love法 再手術5%前後
 前方摘出術 × 骨移植をすることが多い

※腰椎椎間板ヘルニアで手術の適応となるのは約5%です。
手術の適応となるのは、
保存的治療を3ヶ月間行っても痛み、痺れ、筋力低下が改善されず、日常生活に支障があるとき。
我慢できない強い痛みのために日常生活が著しく制限されるとき。
尿意がわからなく失禁したり、肛門が痺れて締りがなくなったときは緊急手術の適応です。

手術方法
@直接ヘルニアを除去
 ・Love(ラブ人名)法・・・肉眼でヘルニアを摘出、

 ・顕微鏡下ヘルニア摘出術(MD法)・・・顕微鏡視下で摘出 
                         (後方より、肉眼で行うか、顕微鏡視下で行うかの違い)
 ・内視鏡下ヘルニア摘出術(MED法)・・・直径約2cmの筒の中に内視鏡と器械を入れて
                           モニターを見ながらヘルニアを摘出します。

A椎間板内圧を減らしてヘルニアを引っ込める手術
 ・経皮的髄核摘出術(PN法)・・・椎間板に管を差し込んで、内径約5oの管の中から
                       特殊な器具を通して隋核を摘出します。
 ・レーザー椎間板減圧術・・・内径数oの管の中からレーザー光線で髄核を焼いて縮めます。


術式の比較
比較項目 \ 術式 Love法 顕微鏡下 内視鏡下 経皮 レーザー
入院日数 5〜14日 5〜14日 1〜5日 0〜2日 0〜2日
麻酔 全麻 全麻 全麻 局麻 局麻
創の大きさ 3〜5cm 約3cm 約2cm 1cm未満 1cm未満
手術時間 30〜60分 30〜60分 60〜90分 60〜90分 30〜60分
出血量 20〜50ml 20ml未満 20ml未満 微量 微量
術中透視 不要 不要 不要 必要 必要
術後の疼痛 中〜小
術後歩行開始 1〜3日 1〜3日 当日〜1日 当日〜1日 当日
術前の症状 早期改善 早期改善 早期改善 緩除改善 緩除改善
再手術率 3〜5% 3〜5% 3〜5% 10〜25% 10〜25%
健康保険適応 あり あり あり あり なし
手術の点数 17200 17200 17200 10100
負担金(3割) 15〜30万 15〜30万 10〜20万 10〜20万


手術の合併症

●直接ヘルニアを取る手術(Love法、顕微鏡下、内視鏡下)
 @神経根障害(殆ど一過性)
  ・しびれや知覚鈍磨の増強──ラブ・顕微鏡・内視鏡(数%)
  ・筋力低下――ラブ・顕微鏡・内視鏡(1%未満)
 A硬膜損傷――内視鏡(数%) ラブ・顕微鏡(1%未満)
 B血腫による麻痺――ラブ・顕微鏡・内視鏡(1%未満)
 C創感染
  ・皮膚――ラブ・顕微鏡・内視鏡(数%)
  ・椎間板――ラブ・顕微鏡・内視鏡(1%未満)
 Dその他――深部静脈血栓症など

●椎間板内圧を減らす手術(経皮、レーザー)
 @神経根障害
  ・針、管挿入時の放散痛――経皮・レーザー(数10%)
  ・放散痛のための手術不能――経皮・レーザー(数%?)
  ・神経根の火傷(不可逆的)――レーザー(?)
  ・下肢の知覚異常、筋力低下――経皮・レーザー(数%)
 A感染
  ・皮膚――経皮・レーザー(数%)
  ・椎間板――経皮・レーザー(1%未満)
 B出血
  ・椎間板刺入部――経皮・レーザー(?)
  ・大血管(致死的)――経皮・レーザー(極めて稀?)


セカンドオピニオンの勧め

・自分には手術の必要性はあるの?
・主治医に勧められた手術が自分にはベストなの?
・手術の時期はいつが良い?
・主治医は信頼できる医師がいい
・専門医に診てほしい


ぜひ、セカンドオピニオンを受けてください!

セカンドオピニオンの受け方
・セカンドオピニオンを受けたいと主治医に申し出る
・どの病院・医師にセカンドオピニオンを受けるか決める
・主治医に紹介状を書いてもらう。必ずX-PやMRIを借りる
・セカンドオピニオンを受ける病院に電話して予約を取る
・セカンドオピニオンを受けたら、結果を主治医に報告しましょう
・主治医にお願いする。又は、他の医師にお願いする。もうしばらく考える。自分に納得できる医師を選びましょう。


脊椎脊髄手術指導医を探しましょう。
 日本脊椎脊髄病学会のHPから検索できます。全国で約1000人の専門医がいらっしゃいます。
 お近くの病院の専門医にセカンドオピニオンを受けてください。
 





※整形外科医師(脊椎脊髄手術指導医)による資料を参考に作成しております。


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