頚椎椎間板ヘルニア


頚椎椎間板ヘルニアとは?

頚椎は7個の椎体からできています。
1と2頚椎は特殊な形をしていますが、3~7頚椎は同じ形をしています。
椎間板は軟骨で出来ていますが、その構造は線維輪という硬い軟骨の囲いの中に柔らかい隋核という軟骨が入っており、クッションの役目をしています。椎間板の老化により、水分量が減って弾力が失われていきます。少しの衝撃でも傷つきやすく、硬い線維輪ももろくなっているために、中にある髄核が線維輪を破って飛び出してしまいます。飛び出した状態が椎間板ヘルニアです。
飛び出た大きさや、神経圧迫の部位によって頚部痛、神経根症、脊髄症を呈します。
頚椎椎間板ヘルニアは、変形性頚椎症と臨床症状だけでは区別が困難なこともあります。MRI画像診断が必要です。
頚椎椎間板ヘルニアは、変形性頚椎症より若い年齢層(30~50代)に多い。

頚椎椎間板ヘルニアのタイプ
髄核が移動しても線維輪からはみ出さないが線維輪はふくれる。(膨隆型)

髄核が線維輪からはみ出して後縦靱帯(PLL)がふくれる。膨隆型(突出型)

髄核が後縦靱帯を突き破って脱出する。(脱出型)

後縦靱帯を突き破って脱出した髄核の一部が脊柱管内に脱出遊離する(移動型)


ヘルニアのタイプによって症状も違ってきます。内圧が高いと強い痛みがあります。
◆ 頚椎椎間板内圧
・膨隆=内圧高い
・後縦靱帯を破らない脱出型=内圧高い
・後縦靱帯を破った脱出型=内圧低い
・遊離型=内圧低い

◆ 頚椎椎間板ヘルニアの主な症状
・神経根症…ヘルニアが神経を刺激するために起こる。痛みのある症状側に傾けると痛みは強くなります。
・脊髄症…ヘルニアが脊髄を圧迫するために起こる。
・椎間板症…膨隆した椎間板内圧が高いために起こる。

神経根、脊髄がどこで圧迫されるかによって症状が異なります。
脊髄から神経根が枝分かれして全身に伸びています。2対は後頭部に、3対目からは肩・腕・背部に伝わる。脊髄が強く圧迫・刺激されると末梢神経が広がる部位の全体に伝わります。そのため、下肢にまで痛みが出ることがあります。

◆ 頚部神経根症
頚部(首)の痛み、肩の痛み、肩甲骨の痛み、腕の痛み、腕のだるさ、肩こり、
痛みには、焼けるような痛み、締めつけられるような痛み、重い痛みなどがあります。首を後ろに反らすと腕に強い痛みが生じます。

◆ 頚部脊髄症
上肢の痺れ(しびれ)・下肢の痺れ、手に力が入りにくい、お箸を持ち難い、字を上手く書けない、ボタンが掛け難い、歩くときに力が入りにくい・歩きにくい、階段を降りにくい、尿が出にくい・尿意がわからない・尿がもれるなどの排尿障害、肛門の周りが痺れて締りががない、便秘になりがち、など。
ヘルニアが後方に大きく飛び出して脊髄を圧迫し、圧迫の程度が大きいほど症状も重くなります。首を後ろに倒すなど頚を反らせると圧迫が強くなって激しく痛みます。
脊髄症の人は頭を強く打つと脊髄が傷つく可能性が大きくなり症状が悪化します。四肢麻痺になる可能性も大きくなります。転倒したり頭をぶつけないように、追突事故にも遭わないように注意が必要です。
元々脊柱管が細い人は少しの圧迫でも脊髄が刺激を受けてしまうため、痛みが強くなることもあるようです。

◆ 椎間板性疼痛
頭痛、頚部痛の他に肩の痛みや吐き気、めまいなどがあります。

◆ヘルニアが消えてなくなることはあるの?
髄核が線維輪を突き破って脱出していると、神経根の炎症も強く痛みも強いですがそのうちにヘルニアが吸収されて小さくなり痛みも軽快することがあります。(3~6ヶ月)可能性は50%位。
※ヘルニアの吸収とともに症状は軽くなります。
しかし、全てのヘルニアが吸収されるわけではありません。





★頚椎椎間板/頚椎疾患の分類
★頚椎椎間板/頚椎疾患の症状
★神経根症と脊髄症
★頚椎椎間板ヘルニア治療法
★手術について
★注意点・予防法

 ★サイトのトップ★




※整形外科医師(日本脊椎脊髄病学会指導医)による参考資料を基に作成しております。